予防として摂るべきもの  ( 2004/12/21 )

脳卒中や心筋梗塞を引き起こす動脈硬化の原因として先天的な素因と生活習慣が挙げられます。そこに活性酸素が関与していると考えられています。活性酸素は本来免疫細胞の好中球という白血球の仲間が産生する物質で、細菌をやっつける役目があるものなのですが、体内に活性酸素が多く発生しすぎると自分の血管や遺伝子を痛めつけてしまうと考えられています。従って活性酸素の産生量を適度な量にコントロールすることが重要になります。そのために先に挙げましたがんにならないための14ヶ条を守ることが原則なのですが、人間の営みの中で必ずしも守れることばかりではありませんし、さらに、現代のようなストレスのある生活が心配、あるいは自分には高血圧などがあると言う方もいらっしゃると思います。肝心なのは体内に余分な活性酸素がでたらただちに生体内で化学反応をおこし活性をなくして体が傷つくチャンスを減らせばよいということになります。がんと動脈硬化のどちらも予防するための生活習慣を一緒に考えましょう。そのために私が提案するのが
1.抗酸化物質(別名SOD)の摂取
2.化学反応(酵素)の材料としてのたんぱく質
3.酵素反応をスムーズに進めるための補酵素
なのです。

 抗酸化物質は最近テレビなどで紹介されることも多くなりましたが、以下のものが主として挙げられます。すなわち、ビタミンA(βカロチン)、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンQ(コエンザイムQ)、フラボノイド(ポリフェノールなどを含む)、セレン、発酵食品(ニワーナ、メグビーSなどの商品がある)。これらが含有されたものを摂取していれば、体に起きたストレスなどによる活性酸素の障害を中和してくれると言うわけです。ビタミンAは人参などに含まれています油性のビタミンで、油分の入った食事(野菜炒めなど)をすると良く吸収されます。油性のビタミン全部に言えることですが、ビタミンAは過剰に摂りすぎると障害がでるとされており、量に気をつける必要がありますが、体内でビタミンAに変換されるβカロチンは過剰量になることは少ないので比較的安心です。
ビタミンCは皆さん良くご存知でしょうが、別名アスコルビン酸とも呼ばれています。レモンやブロッコリー、キャベツなど多くの野菜、果物に含まれています。ビタミンEは大豆などに含まれており、ビタミンAと同様に油性のビタミンです。血管を広げる作用もあります。ビタミンQは最近ブームになっていますが、実は20年以上前から心臓病の薬として医師は処方しています。ビタミンQ自体が抗酸化作用を持つ上に、ビタミンE、ビタミンCの抗酸化作用を助ける働きも持っています。フラボノイドも同様にブームになっていますが、ワインやチョコレートなどに含まれるポリフェノールもこの仲間です。セレンは抗酸化作用のあるミネラルとして知られています。発酵食品の一部に抗酸化作用があることが知られており、その中に高知県の丹羽先生が開発された「ニワーナ」という食品があります。「メグビーS」はニワーナにグルタチオンを配合して作用を高めたものですが、いずれも高い抗酸化作用があるとされています。
これらの抗酸化物質をとって活性酸素を中和する過程で必要なものはたんぱく質です。たんぱく質にはヒトが体内で合成できない必須アミノ酸が含まれていますが、そのアミノ酸がバランスよく含まれる良質のたんぱく質を摂る必要があります。家のリフォームをするのに中古の材料を使いたくないのと同様に絶えず作りなおされているヒトの体の材料を摂るのに良質のものでないと意味がないことはお分かりと思います。また、たんぱく質を構成するアミノ酸のバランスが大切で、家の柱に短いものがあれば屋根が載らないように、不足したアミノ酸があると他のものをたくさん摂っても意味がなくなってしまいます。量としては、1日当り体重の1000分の1量の摂取が望ましいと考えられます。具体的には60kgの方なら60g/日ということになります。通常の生活をしていて、卵や豆腐、納豆、肉、魚で摂取すればいいのですが、たとえばステーキで全部取ろう、などと考えるとカロリー・脂肪が過多になってしまうので、食事だけでなく比較的カロリーの抑えられたプロテインをお勧めします。プロテインで摂る場合は必要量の半分くらいの量をプロテインで摂取し、残りの半分は食事から摂るということになります。60kgの方なら30gのプロテインを摂取し、加えて、卵、納豆などを30g相当食事から摂取するのが適当ということになります。
これに、体内の代謝に必要なビタミンB群を摂ればいいのですが、ビタミンB群の多くはたんぱく質である生体内の酵素の反応をスムーズに働かせる「補酵素」の役割を担っています。ビタミンB群には以下のようなものがありますが、ビタミンB1は「糖のビタミン」、ビタミンB2は「脂肪のビタミン」、ビタミンB6は「蛋白・アミノ酸のビタミン」と呼ばれており、それぞれ体内で糖、脂肪、たんぱくなどの生体内の反応に活躍しています。ビタミンB群は他にパントテン酸、葉酸、B12、ナイアシン、ビオチンがあります。ビタミンB群は水溶性であり、摂ったビタミンのうち、余った分は尿から排泄されてしまいますので副作用はほとんどないと考えてよいでしょう。