がん予防14カ条  ( 2005/02/24 )

最近は生活習慣をコントロールすることで病気の予防が可能であるということがわかってきました。以下にご紹介するのは世界中の研究者が集まってがんを予防するために必要な14ヶ条をまとめたもので、1997年に発表になった論文を要約したものです。

<がんを予防する14か条>

1 植物性由来で精製度をなるべく抑えた食事をしましょう。
2 正常体重の維持を図りましょう。成人期を通じ増加5kg未満にしましょう。
3 身体活動の維持をしましょう。一週間に最低一時間は活発な運動をしましょう。
4 野菜・果物類、一日当り400〜800gを摂りましょう。
5 精製度の低い穀類・芋・豆類・バナナを1日600‐800gを摂りましょう。
6 飲酒は勧められません。どうしても飲む場合には男性は酒一合かビール中びん一本、女性はその半分以下が望ましいでしょう。
7 赤身の肉は一日80g以下にしましょう。魚又は鶏肉の摂取が望ましいでしょう。
8 動物性脂肪はできるだけ抑え、適当な植物油を控えめにとりましょう。
9 塩分を控え、調味に香辛料はハーブを利用しましょう。
10 食品の貯蔵(カビ毒)に注意しましょう。
11 腐敗しやすい食物は冷蔵庫に保管しましょう。
12 食品添加物、汚染物質および残留成分に注意し、なるたけ避けましょう。
13 肉や魚の肉汁の焦げたもの、直火焼肉や焼き魚、塩干薫製の肉類はできるだけ避けましょう。
14 補助食品はこの勧告を守る人は不必要と考えられます。
(15 たばこは止めましょう。たばこは飲酒の害を増幅させ、良い食生活をしても喫煙によって台無しになる可能性があります)

がんを予防する生活習慣なのに高血圧や高脂血症など生活習慣病予防の内容とかなりの部分で重なっていることが興味深いです。植物由来の食事ということは日本の伝統食の豆腐、納豆などが日本人の長寿に関わっているのではないか、と言う知見が大きく関係しているのかもしれません。いわゆる欧米食がカロリー過多であり、肥満の原因であると同時にがんの原因でもあるということがいえます。また、適度な運動ががん予防にもなるということも良く覚えておいて下さい。

飲酒については最近のデータでは何も飲まない方より1合程度の飲酒習慣のある方のほうが胃がんの危険が下がり、2合以上だとまた危険度が増すというものがあり、適度であれば昔から言われる「酒は百薬の長」という言葉を裏付ける結果となっています。

喫煙については括弧扱いになっていますが、あまりにも当たり前すぎるという意味です。喫煙者には耳の痛いことです。

カビや冷蔵庫の話は世界中の研究者が集まった会での検討ですので熱帯地域などの環境が考慮されているものと思われます。

焦げたものを避けるということはかなり前から言われていることですので良くご存知かと思いますが、燻製の肉類が良くないというのは少々びっくりします。おつまみとしてお好きな方も多いと思いますので適度な量をお取りになるのなら良いかもしれません。 

健康補助食品はこの勧告を守る人なら不要とのコメントがでていますが、現代の日本のストレスと考えるとそうは言っていられないのではと私は考えています。

がん予防14ヶ条をご紹介したのはこういったことに気をつけましょうと言う注意を促すためであり、これが完全かどうかは新しい知見を取り入れていくことでどんどん変わっていくということをご承知於きください。特に抗ストレスの対策はここではあえて記載がなく、この点は別個に考慮されることをお勧めします。

簡単にがんのできる仕組みを考えますと「栄養素の偏りや不足」と「物理的、化学的有害物質」にまとめることが出来るでしょう。こうした状況により、正常の細胞が変化して異常な細胞である「自律的でコントロール不能な増殖」をする細胞に変化する。その細胞が増え続け体を蝕んでいきます。その変化に活性酸素が関与しているらしいということが判ってきました。

こうしたがんの予防には

1.栄養素の偏りや不足が無いようにする 
2.物理的、化学的有害物質の刺激によって発生した活性酸素を中和してやる
3.がん細胞が発生してもパトロール遺伝子や免疫細胞が片付けてくれるように体内の代謝環境を良くしてあげる等の対策により効果がでると推定されます。