動脈硬化と関連する病気1:高血圧  ( 2004/11/26 )

「動脈硬化」は本来ゴムホースのような弾力性をもって全身に血液を送っている血管が、様々な老廃物がたまったり変性をおこして硬く、もろくなり詰まりやすくなったり切れてしまったりする状態です。結果として重要な内臓への血液の供給が絶たれて障害をおこします。ポピュラーで、生命に関わる大きな3つの疾患について原因や予防を考えてみましょう。 

その1−高血圧
高血圧症は患者さんも多く、ご自身あるいは身近な方のどなたか「血圧の薬を飲んで」いらっしゃるのではないでしょうか?そのいっぽうであまり病気の実態は良く理解されておらず「血圧が高いと(いわゆる"低血圧”に比べて)元気なのだ」という勘違いや「血圧が高いとどうしていけないのか」という質問にもよく出会います。
血圧とは『血液を体の隅々に届ける力の強さ』ですから、必要以上に高ければ、血液を送り出す心臓にいらぬ負担がかかり、受け止める血管のほうも傷んでしまうことになります。高血圧で血管につねに強い力がかかっていると、負けじと血管の壁が厚く、硬くなってきます。このため弾力性が失われてゆきます。さらに圧力に耐えかねて傷が出来、これを修復するとさらに壁が厚くなり中は狭くなってしまいます。これは高速を通るトラックが道路を傷めるので上からセメントをかけて補修することをイメージすればわかりやすいでしょう。 
高血圧はまれな病気の症状の一つで出ることもありますが、大部分はいわゆる体質的なものです。片方の親に高血圧があると子供の3人に1人は高血圧、両親が高血圧だと子供の2人に1人は高血圧になるといわれています。それでは予防できないのでは?と思われますが、塩分制限など生活習慣の改善だけでもかなりの効果があります。本態性高血圧の60%が塩分制限に改善するといわれています。