心筋梗塞のお話  ( 2004/09/10 )

 心筋梗塞は通常、左胸が痛みが1時間以上続くとされています。5分程度で痛みが治まるものは狭心症と言います。 

 どちらも心臓の血管(冠動脈)が狭くなったり、閉塞することによって、痛みを感じるのです。狭心症の場合は心臓の筋肉(心筋)は死なないのですが、心筋梗塞になると心筋は死んでしまいその部分の心筋は復活することはありません。

 ですから、同じ胸痛でも5分で治るものと1時間以上続くものではその意味が全く異なるわけです。

 一般の外来をしている医師はそうしたことを学生時代から教育され、実際の外来で経験しているわけですが、患者さんがその恩恵を受けるまでには、患者さんが外来に行き、問診表を記載し、看護師さんに話を聞いてもらって、診断するまでにだいぶ待たされてしまいます。

 患者さんの中には救急車を呼んで見てもらう方もいらっしゃいすが、我慢してしまう方も多く、患者さん自身の医学的知識、情報といったものが、その後の病気の経過を左右してしまうことがあるのです。

 もっと詳しい話をすると狭心症の発作(胸痛)を何回も続けてから発作をいる人は、心筋が血流が少ない状態に慣れてくるので心筋梗塞を発症したとしても、その前に胸痛発作のなかった心筋梗塞の人よりも軽い状態であることが知られています。

 これは患者さんの立場から見ると、心筋梗塞になってしまう前に、狭心症発作を起こすことで心臓病のことを理解し、対処方法を学ぶチャンスがあったならば実際に重症の心筋梗塞発作がおきたときに素早く対処できて軽症ですむ可能性があると考えることもできます。