一病息災  ( 2005/03/01 )

無病息災ならぬ“一病息災”。この言葉は夏目漱石の門下生であり独特の小説世界を持つ作家・内田百_の随筆の中にあります。

彼は《発作性上室性頻拍》という不整脈の持病をもっていました。この不整脈は発作時には激しい動悸を感じ、患者さんの苦痛、不安は大きいのですが生命の危険はありません。このため彼はこの発作を「病気のための病気」「芸術的な病気」とし、苦しみながらも愛着を持ってこの言葉を使っていたようです。

一病を得、それを受け入れることでかえってより豊かな人生へを得ることも少なくありません。そういう意味で病気もひとつのチャンスということもあります。病を得て生活の軽量化や簡素化を図る場合もあるでしょう。もしかしたら本当に大切なものだけが病気によって選ばれるということもあるかもしれません。人生の再デザインというわけです。

バリバリの営業マンの知人がいたのですが、病気をきっかけに健康に対する意識が高まり、奥さんとご一緒に週に何度かの1時間程の散歩をされている方がいらっしゃいます。人生は一通りではなく、分かれ道もあり、いつでもやり直せるではないでしょうか。